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[2009年06月08日] 
お待たせカブール便り  小野由美子
ジャララバード出張 その1

 5月18日〜6月14日までの予定でアフガニスタンに出張中です。今回の出張は非常にハードで(理由はまたおいおい)、毎日疲労困憊してなかなかカブール便りを書く時間と気力が見いだせませんでした。しかし、今日はイスラムの公休日(金曜日)。ようやく、すこし余裕がでてきました。

 5月24日〜28日まで、ナンガハール州ジャララバードに出張しました。出張の目的は、理数科のテスト実施、授業ビデオ撮影、STEPプロジェクトで作成した指導書の普及宣伝活動などなど、盛りだくさん。しかし、間抜けなことに(私の責任では決してありません、念のため)、州教育省に出向くと、なんと市
内の学校は学年末テストの真っ最中であることが判明。まあ、すでに日中の最高気温は40度に近いので、早めにテストをして夏休みに突入する、という措置もうなずけます。

 ジャララバードで気がついたことは、女性をほとんど見かけない、ということ。女性がいないわけではなく、表だったところでは一人歩きはもちろん、夫あるいは父親と連れだって歩く姿も稀でした。人通りの少ない裏道に入ると、子どもの手を引いた女性を見かけますが、それもほとんどがブルカで顔を隠しています。朝、学校に向かう女子生徒(高校生?)もブルカかショールで顔を覆っていました。今更ながら、首都カブールの特殊性を感じます。
 
ジャララバード出張2

 現在、出張が認められているのは、北のバルフ州マザリシャリフ、バーミヤン、ナンガハール州ジャララバードの3市だけ。マザリとジャララにはJICA事務所もあります。
 ジャララのJICAプロジェクトは現在、稲作プロジェクトのみ。日本人専門家3人が取り組んでおられます。お邪魔していろいろと意見交換しました。稲作プロジェクトでは収量が一挙に3倍になったということで、周りのアフガン人も一目置いている、ということでした。
 成果が目に見える農業(稲の成長、収穫増加など)では参加者も励まされてもっと頑張ろうと思えますが、成果が目に見えにくい教育プロジェクトでは、どうやって努力を継続するように教員を動機づけるかは大きな問題です。ほんの少しでもできるようになったところをほめることが大事というメンバーの意見ですが、同感。そのためにも、防弾車なしで歩き回れるようにならないと、学校に行って先生を励ますこともできません。
 
 写真は、田植え後の田んぼの様子をみる日本人専門家と銃をもった警備員。成果も見えやすいが、失敗も一目瞭然だとおっしゃっていました。自然条件など、人間がコントロールできない部分もあり、プレッシャーも大きいそうです。

 
疲労困憊する原因

 今回の出張ほど、毎日疲労困憊してベッドに倒れ込むのは初めての経験です。なぜか?その原因は、毎日、午前中2時間半、午後は1時間、アフガン人を相手にワークショップを開いているから。

 6月6日
4:30 起床
   メールチェック
   ワークショップの流れを考える
   資料作成、印刷
   朝食
8:00 ゲストハウス出発
8:30 STEP事務所着
8:45 通訳のナショナルスタッフと打ち合わせ
9:20 会場へ向け出発
9:30〜12:00


 将来、教科書が改訂されたときに備えて、教師用指導書改訂のガイドラインを作成する目的で、指導書執筆者が19人集まって作業をしています。英語が片言でも通じる人は3人程度。あとはダリ語のみ。

 
 今日の課題は、前回、皆で合意した改訂作業工程をもとに、その工程ごとに、必要事項、注意事項を箇条書きにすること。
個人作業ののち、グループに分かれて話し合い、発表。討議。

 簡単そうに聞こえるが、これが困難を極める。
・何が必要か、具体的にイメージできない。指導書改訂についてではなく、非常に一般的なことを書く。たとえば、なぜ指導書が大事か(それは大前提でしょ。そのうえで改訂作業について、経験したことをもとに大事だと思うことを書いてほしい)。

・大事と思うことは人それぞれで、1つとは限らない。しかし、正解が1つある、と考えている節がある。権威者(この場合はワークショップ主催者であるわれわれSTEP関係者)のお墨付きをほしがる。

・新旧教科書の内容比較:まだ新しい教科書が印刷出版されていないのに、どうして比較できるのかという発言。これが参加者の中でも一目置かれている男性の執拗な発言だったので、他の参加者が説得するまでに相当の時間を費やす。(だから、将来に備えて、といったでしょう?WSの目的も理解しないで、これまで好きなことをしゃべってたの?)

 ダリ語でのこうしたやり取りを黙って聞き、適当なタイミングで発言を制止し、通訳に概要を訳してもらい(どの程度伝わっているのかも疑問)、それに対してコメントする。それをダリ語訳すると、参加者それぞれが、ガーと好き勝手なことをしゃべる、という繰り返し。前の発言者と同じ意見でも、延々としゃべりたがる。要点だけを簡潔に話すことができない(良しとされていない?)。

 こういうとギスギスしたWSに聞こえますが、誰かの冗談で、どった笑いがおこったり、写真をプレゼントしたらそれを見せ合って歓声をあげたりと、結構かわいいところもあります。

 どんなに喧々諤々の議論をしても翌日にはみなけろっとして現れて、お茶を飲みながら、またけろっとして作業を始めます。日本のように以心伝心の文化ではない多言語・多文化国家では、当り前のことなのかも知れません。

 それにしても、疲れる....

 写真は昨日のWSの一コマ。立っているのが通訳のナショナル・スタッフ。
 
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